上海地下鉄追突事故、"見切り発車"やめ質高き発展を
2011年9月29日 16:00
1995年に開業して運転が開始された。2000年に3路線に増えた。世界万博開催地として選出されてからは共産党に怒涛の開発ラッシュが続き、なんと僅か10年の間に13路線を開発。地下鉄はこの世界都市の中心部をほぼ隈なく網羅した。運賃は3元(約50円)から。数分おきに後続列車が到着する――そう、上海市民の足、上海起動交通(地下鉄)である。そして驚くことなかれ、更に10年後には21路線に拡大するプロジェクトが進行中で、今も気付けば新しい駅が誕生している。その怒涛の開発計画が進む中、安全性は20年前から置いてけぼりだったのか。
27日、中国・上海市で起きた地下鉄の追突事故が発生した。豫園など観光名所を通過し、外国人利用客も多い地下鉄10号線において、信号システムの故障が原因で270余りの重軽傷者を出す結果となり、少なからず日本人の負傷者も確認された。今年7月に起きた鉄道史に残る惨事、中国浙江省温州での中国鉄路高速(和諧号)脱線事故でも、その原因として指摘されたのは信号システムの故障。その上、今回の地下鉄事故も事故調査が4時間余りという短時間に一旦打ち切られるという展開に。現時点では批判を受ける形で運転を見合わせているものの、同様の信号システムを使用している他12路線は通常運転を行っている。当然ながら市民らはネットを通じて、安全性に対する批判の声を殺到させている。
実際に上海という世界都市の近代化を目の当たりにした筆者は、良くも悪くも共産党の力強さに圧倒されたものだ。しかし、その発展の道を振り返れば、多くの国民の犠牲があり、そして行く手にも穴がごろごろと転がっている状況である。中国の発展に驚かされた我々の感情が、尊敬に変わるか、それとも失笑に変わるのかは、彼らの倫理意識がどれだけ洗練されるかに掛かっている。"見切り発車"は御免なのだ。世界都市としての面子に掛けて、質の高い文明開化を期待している。
【記事:G・JoeⅡ】
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