鈴木プロデューサ新作ぽろり、ジブリ映画要素を考察
2011年8月6日 15:00
「面白いものはこの世界にいっぱいある。キレイなものや、まだ出合ってないかもしれないけれど、いいこともいっぱいある。それを子どもたちに伝えたい。」と世界を肯定的に捉えつつ、一方では「希望を持って生きねばならぬ、という価値観は捨てた方がいいし本当はこの世は生きるに値しない。でも子供に向かってそんなことは言えないので『とりあえず生きてみて下さい』と言うのが私の本音です。」と諦観した哲学を語る宮崎駿監督。70歳を迎えた彼が今、アニメーション作家として日本に送り出すメッセージとは如何なるものだろうか。
3日、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが次回宮崎駿監督の最新作を「(宮崎監督の)自伝になる」ことを明かした。ネットユーザーの反応は「興味深い」「楽しみ」といったものが多いが、否定的な意見も少なくはない。「世界を代表する芸術家の生涯については興味深いが、アニメ映画として鑑賞する必要があるのか」、というのが後者の見解である。確かに、これまでジブリが歩んできたファンタジーとノスタルジックが融合した壮麗な世界観を鑑みるに、一個人の自伝という因子はにわかに結びつき難いものがある。
『崖の上のポニョ』『借りぐらしのアリエッティ』に代表されるように、近年のジブリ作品は反応的な描写に重点が置かれている。芸術性に満ち溢れた絵画が命を持って躍動している――その様子は奇跡と言って溢美たらぬが、一方でストーリー展開や人物描写の配分が薄れているように筆者は感じてならない。新作が「自伝」という事になれば、必要となってくる要素は後者の論理性、関係性という事になるだろう。絵コンテを徹底する事でよく知られている監督。創作力の配分をストーリーや人物に上手く振り分けられるかが、作品完成度の鍵となりそうだ。
【記事:G・JoeⅡ】
0 件のコメント:
コメントを投稿